2014年06月26日

難病とは? 特定疾患とは?

●難病とは?(1)

特定疾患(とくていしっかん)とは、日本において厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野の対象に指定された疾患をさす。

2012年現在、対象は130疾患。

難病(なんびょう)とも称される。

都道府県が実施する特定疾患治療研究事業の対象疾患は、国の指定する疾患については特定疾患から選ばれており、当事業の対象疾患をさして特定疾患ということもある。




●特定疾患の概説

日本では、いわゆる難病の中でも積極的に研究を推進する必要のある疾患について、調査研究、重点的研究、横断的研究からなる難治性疾患克服研究事業を行っている。

対象となる疾患は、厚生労働省健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会において検討の上で決定される。

このうち、特に治療が極めて困難であり、かつ、医療費も高額である疾患について、医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費負担軽減を図る目的で、都道府県を実施主体として特定疾患治療研究事業が行われている。

対象は2009年10月1日現在、56疾患。

特定疾患治療研究事業の対象疾患については、医療費の患者自己負担分の一部または全部について国と都道府県による公的な助成(公費負担医療)を受けることができる。




●難病の2つの定義

元々難病とは、一般的に「治りにくい病気」や「不治の病」を指す言葉であり、医学用語として具体的かつ明確に定義されているものではない。

施策上の難病の定義は、1972年の難病対策要綱によると、

1.原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病

2.経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病

とされている。



●特定疾患の俗称としての難病

「難病」とされる疾病を定義したものではないが、行政や医療の現場では「特定疾患」を指して「難病」と俗称することがある。

ここでいう特定疾患とは、診療報酬の医学管理等において特定疾患療養管理料などとして請求される対象の特定疾患のことではない。



●難治性疾患克服研究事業の概観

施策上、症例が少なく原因不明・治療方法の未確立で生活面に長期に支障をきたす疾患に対して次のような対策を行っている。

1.調査研究の推進。難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野対象疾患。130疾患。

2.医療施設等の整備

3.地域の医療・保健福祉の充実・連携

4.QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目指した福祉政策の充実(難病患者等居宅生活支援事業・市町村自治事務。)

5.医療費の自己負担の軽減(特定疾患治療研究事業対象56疾患)



●指定疾患名

●難治性疾患克服研究事業 臨床調査研究分野対象疾患

2009年4月1日現在130疾患 厚生労働省による原因究明・治療法などの研究が行われるが、特定疾患治療研究事業対象疾患以外は患者の自己負担分は、公費で負担されない。

難治性疾患克服研究事業 臨床調査研究分野対象疾患リスト


●特定疾患治療研究事業対象疾患

2009年10月1日現在56疾患

患者は所轄の保健所に申請することにより、医療費の自己負担分の一部または全額の助成を、公費で受けることができる。


1.ベーチェット病

2.多発性硬化症

3.重症筋無力症

4.全身性エリテマトーデス

5.スモン

6.再生不良性貧血

7.サルコイドーシス

8.筋萎縮性側索硬化症

9.強皮症/皮膚筋炎および多発性筋炎

10.特発性血小板減少性紫斑病

11.結節性動脈炎

1.結節性動脈炎

2.顕微鏡的多発血管炎

12.潰瘍性大腸炎

13.大動脈炎症候群

14.ビュルガー病(バージャー病)

15.天疱瘡

16.脊髄小脳変性症

17.クローン病

18.難治性肝炎のうち、劇症肝炎

19.悪性関節リウマチ (線維筋痛症を含まず)

20.パーキンソン病関連疾患

1.進行性核上性麻痺

2.大脳皮質基底核変性症

3.パーキンソン病

21.アミロイドーシス

22.後靭帯骨化症

23.ハンチントン病

24.モヤモヤ病(ウィルス動脈輪閉鎖症)

25.ウェゲナー肉芽腫症

26.特発性拡張型(うっ血型)心筋症

27.多系統萎縮症

1.線条体黒質変性症

2.オリーブ橋小脳萎縮症

3.シャイ・ドレーガー症候群

28.表皮水疱症(接合型及び栄養障害型)

29.膿疱性乾癬

30.広範脊柱管狭窄症

31.原発性胆汁性肝硬変

32.重症急性膵炎

33.特発性大腿骨頭壊死症

34.混合性結合組織病

35.原発性免疫不全症候群

36.特発性間質性肺炎

37.網膜色素変性症

38.プリオン病

1.クロイツフェルト・ヤコブ病

2.ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病

3.致死性家族性不眠症

39.原発性肺高血圧症

40.神経線維腫症I型/神経線維腫症II型

41.亜急性硬化性全脳炎

42.バット・キアリ(Budd-Chiari)症候群

43.特発性慢性肺血栓塞栓症(肺高血圧型)

44.ライソゾーム病

1.ライソゾーム病(ファブリー病を除く)

2.ライソゾーム病(ファブリー病)

45.副腎白質ジストロフィー

46.家族性高コレステロール血症 (ホモ接合型)

47.脊髄性筋萎縮症

48.球脊髄性筋萎縮症

49.慢性炎症性脱髄性多発神経炎

50.肥大型心筋症

51.拘束型心筋症

52.ミトコンドリア病

53.リンパ脈管筋腫症 (LAM)

54.重症多形滲出性紅斑 (急性期)

55.黄色靭帯骨化症

56.間脳下垂体機能障害

1.PRL分泌異常症

2.ゴナドトロピン分泌異常症

3.ADH分泌異常症

4.下垂体性TSH分泌異常症

5.クッシング病

6.先端巨大症

7.下垂体機能低下症



posted by ホーライ at 04:57| 難病の説明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする