もやもや病(もやもやびょう、英称:moyamoya disease)は、脳底部に異常血管網がみられる脳血管障害。
脳血管造影の画像において、異常血管網が煙草の煙のようにモヤモヤして見えることから、日本人研究者の鈴木二郎と高久晃の研究論文 Cerebrovascular "Moyamoya" Disease: Disease Showing Abnormal Net-Like Vessels in Base of Brain: Jiro Suzuki, Akira Takaku; Arch Neurol. 1969; 20(3): 288-299. により「もやもや病」と命名された。
これまで、厚生労働省の正式な疾患呼称は、ウィリス動脈輪閉塞症(ウィリスどうみゃくりんへいそくしょう)であったが、2003年から厚生省難病研究班の正式名称ももやもや病となり、もやもや病という病名が正式なものとして認証された。
●もやもや病の定義
もやもや病の本質的な病態は、内頸動脈終末部の進行性狭窄・閉塞である。
もやもや血管は主幹動脈の閉塞により代償的に穿通枝などが異常に拡張した側副血行路である。
診断基準によれば脳血管造影で以下の所見を呈するものをいう。
頭蓋内内頸動脈終末部、前・中大脳動脈近位部に狭窄または閉塞がある狭窄または閉塞部分付近に異常血管網が発達している
このような現象が両側性に見られる
●もやもや病の症状・病態
脳の動脈に狭窄があると、当該血管支配領域の脳は血液不足(虚血)に陥る。
そこで代償的に新たな血管(もやもや血管)が構築される。
しかしこれらの血管は細く、脳虚血・または脳出血に起因する種々の発作の原因となる。
虚血の発作は過換気が原因で起こる。
過換気状態になると血液中の二酸化炭素分圧が低下する。
二酸化炭素は血管を拡張させる働きがあるので、これが減少すると血管が収縮する。
すると、元々細い異常血管網(もやもや血管)はさらに収縮を起こして脳に送るべき酸素の供給が不足する状態になる。
こうして失神や脱力発作が起こる。典型的な過換気状態は、熱い蕎麦やラーメンなどを冷ます「吹き冷まし」行為や、啼泣、リコーダーやピアニカなどの吹奏楽器演奏時など、必要以上の呼吸を伴う動作で発生するため、注意を要する。
また、成人発症例では動脈硬化が関与して狭窄を引き起こすものと考えられている。
一方出血の発作は、脳の血液需要に応じるための大量の血液を送る血管(もやもや血管)が細いために破綻するものと考えられている。
成人発症例に多い。
出血箇所が悪い場合、致命傷となる。
また、成人に近い成長期に出血すると脳全体に脳浮腫(加速的な腫れ)を発症し、多くの場合、助からない。
最も留意すべきは補助的に作られた即席・もやもや血管は壁が薄く破れやすい所にある。
本疾患は原則両側性に起こるが、その程度は様々である。
一方の内頸動脈の狭窄は重度であるがもう一方は極めて軽度であるということもある。
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