2014年07月07日

脊髄小脳変性症とは?(4)

●脊髄小脳変性症とは?(4)

●SCA36

50歳移行に小脳失調で発症し後年になって舌や四肢の筋萎縮や脱力、繊維束性収縮など運動ニューロン障害を呈する疾患である。

罹患期間が長くなるとMRIで脳幹萎縮も認められる。

舌萎縮はSCA1、SCA3でも認められることがあるがSCA36では圧倒的に多い。

岡山県と広島県の県境にある芦田川流域で多い。




●DRPLA

歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)は小脳歯状核赤核路と淡蒼球ルイ体路の系統変性を主病変とする遺伝性疾患である。

有病率は10万人対0.6人と推定される。

平均罹患年数はおよそ11年とされている。

DRPLAは日本では常染色体優性遺伝性SCAの1割を占め、SCA3、SCA6、SCA31についで多い。

原因遺伝子は12番染色体にあるatrophin-1遺伝子内のCAGリピート配列の異常伸長である。

48以上で病的である。CAGリピート数でにより発症年齢が小児から中年期まで幅広く分布する。

発症年齢により臨床症状が異なる。

20歳未満で発症する場合は進行性ミオクローヌスてんかん型(PME)である。

自発性ミオクローヌスやてんかん発作、知能低下が主症状となる。

小脳失調も認められるがミオクローヌスや舞踏運動などで目立たないことがある。



40歳以降に発症する場合は小脳失調と舞踏アテトーゼが主症状となる。

顕著な表現促進現象により同一家系内でも多様な臨床像と呈することが特徴である。


理学的には小脳歯状核の萎縮と淡蒼球ルイ体系の萎縮が認められる。

加えて脳幹、大脳皮質の萎縮が認められる。

歯状核ではグルモース変性が認められる。

これは小脳皮質がほぼ保たれている状態で歯状核の神経細胞が変性した際に認められる所見である。

抗ポリグルタミン抗体IC2を用いた免疫染色では変異atrophin-1蛋白質の神経細胞核内封入体や核内のびまん性蓄積を認める。

頭部MRIでは小脳萎縮や脳幹(特に被蓋部)萎縮、大脳萎縮を認める。

また遅発成人型では大脳白質にびまん性のT2延長病変が認められる。

ハンチントン病で特徴的な尾状核頭部の萎縮は認められない。



posted by ホーライ at 05:33| 神経・筋関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする